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◇94 淫乱ソファ。

626 名前:恋人は名無しさん[sage] 投稿日:2010/04/05(月) 00:15:53 ID:jEWHRl540 [1/5]
婚約記念投下。

彼男は裕福な家庭の出身だったので、学生の1人暮らしには贅沢過ぎるマンションに住んでいた。
体育会サークルと文科系同好会、2つをかけもちしていたが、広い部屋に住んでいたせいで
両方のサークルの部員が催しや宴会でよく集まっていた。

私子は彼男の1学年下で、本格的に付き合いだしたのは彼男が2年の時。
土日は彼男が体育会サークルで忙しいので、平日の夜に彼男のマンションでまったりすることが多かった。

彼男には、友人や後輩のためには自分の身体を張ってでも面倒を見るようなところがあって
頼られたり好かれたりしていたのだろう。
彼男の名誉のために書いておくが、お金で人をはべらせていたわけではない。
遊びに来る友人、後輩がしばしばいた。
飲み会の3次会会場だったり、帰るのが面倒な人、泥酔して自宅に帰りづらい女子など、
彼氏彼女の家に行くあてのない人たちの簡易宿泊所にも使われていた。

彼男が宴会に行くときは、私子があらかじめ、泊まる人たちの夜食や朝食を準備しておく。
酔った後輩がノンアポで「泊めてください~」とやって来ることも増えた。
「やべ、私子、服を着ろ」となったこともあるし(おほほw)、「今、俺の部屋に酔った男女が3人いるんだが」と
夜中に電話があって朝方に食パンと卵とレタスもって駆けつけたこともある。 627 名前:恋人は名無しさん[sage] 投稿日:2010/04/05(月) 00:17:59 ID:jEWHRl540 [2/5]
友人には呆れられたが、私子もそういうカオスなドタバタは嫌いではなかった。
真剣な議論も馬鹿話も下ネタもみんな楽しかった。後輩の真剣な相談もあったりした。
マニアックなDVD(Hなのじゃないです)の上映会もした。
私子はサークルには入っていなかったけど部員と同様の扱いをされていた。
親が厳しくて高校まで堅苦しく育った私子は、彼男の友人たちのおかげで青春を楽しんでいたのだw うん。

もともとは気の合う同級生が集まって、さらに気の合う人が常連になったので
主に性的な意味でトラブルは起こさないという不文律が徹底していた。
酔っ払いはたくさん来たけど、暴れたり嘔吐するような人は不思議にいなかった。
雑魚寝でも安全だということで後輩の女の子たちも安心して遊びに来れていた。
新メンバーも増えていった。
「おまえらのせいで彼男と私子が別れたらどうするんだ!」
「彼男は親が金持ちなだけでおまえらにはバイトした金でメシ食わしてるんだぞ」という感じで
みんなをたしなめてくれる人もいて、なんというか良識と信頼で成り立っている部屋だったと思う。

でも時間がたって人が増えてくると、最初の決まりごとが薄れてきてトラブルが起こってしまうもの。
彼男も私子も信頼という言葉に甘えて警戒感無さすぎだった。

628 名前:恋人は名無しさん[sage] 投稿日:2010/04/05(月) 00:20:40 ID:jEWHRl540 [3/5]
彼男が3年のときの話。
文科系サークルの方に、酔子という1年生がいた。小柄で可愛い子だった。
普段は普通に礼儀正しいのだが、お酒に弱くすぐに泥酔して、構ってくれそうな男子にからむ。
比喩じゃなくて物理的な意味で擦り寄って絡みついて甘えるのだ。
ブラやパンツが見えてもお構いなし。
いっちゃ悪いけど襲ってくださいといってるようなものだった。

酔子は彼男のことが好きだったようで、彼男も居酒屋で酔子の胸の感触をしっかり知らされていて
「あれだけは来てほしくないな。危なすぎる」といっていた。

「もしもし彼男さん、すいません。後輩♂です。今からいいですか?」
「どした?」
「酔子がどうしても彼男先輩のとこ行くってきかんのです」
(ええ、来るなよ)と私子の本音。
「わかっててなんで飲ます?止められんのか」
「いや、暴れるし。なんか俺たちが襲ってるみたいでちょっと無理には」
「しゃあないね。護衛して連れて来い」
(ちっ、後輩♂使えねえ)と私子。

630 名前:恋人は名無しさん[sage] 投稿日:2010/04/05(月) 00:23:26 ID:jEWHRl540 [4/5]
酔子を先頭に男女5名ほど、彼男があからさまに歓迎してないので腰が低い。
泥酔している酔子を洗面器抱かせて寝かせ、「こいつ1人置いていくな。誰か残れよ」
付添子と酔子の2人を泊めることになった。
「酔子はわたしが見てますから、彼男先輩と私子先輩はベッド(別の部屋)で寝てください」と付添子。
いやだい。2人で寝室に消えたら何か良からぬ想像するだろw
妥協案として、居間のソファベッドに2人で寝て、床の布団に酔子と付添子が寝ることになった。

夜中に、ゴトッと強い衝撃で目が覚めた。
え、なに、あ、ベッドから落ちてる私子。
次の瞬間、「おい!」と彼男の切迫した声。
え、何と起きだす付添子。灯りをつける私子。
酔子が彼男の上にまたがって、彼男はスウェットパンツを必死に押さえていた・・・・
場が凍った。

彼男は夢うつつにスウェットとパンツを下ろされ「私子かな」と思ったらしい。
私子はお客の前でそんなことはしませんw
それで「違う!」と一気に目が覚めてパンツを引きずり上げて「やめろ」と叫んだのだそうだ。
後輩の女の子から下半身を守っている彼男は情けなさの極めつけだったけど
相手が女性なので殴ったり蹴ったりはできなかったのだ、、と弁護してあげます。

>>629
ありがとうございます

631 名前:恋人は名無しさん[sage] 投稿日:2010/04/05(月) 00:24:41 ID:jEWHRl540 [5/5]
今は思い出して書けるけど、当時の私子は頭真っ白状態。
「酔子ちゃん、それはない。それはだめだって」
「酔子、手を離して、俺から降りろ」
「・・・・・・」
「降・り・な・さ・い」
「・・・・はい」
付添子はなにをしてたのかよく覚えてないのだけど、きっとあーうーいいながらオロオロしてたと思う。

ここからは彼男ハイパー説教タイム。
恥ずかしさで沸騰していた彼男は、もう顔真っ赤で何をいってるのか良く分からない罵詈雑言。
「何のつもりだ!」っていったって、そりゃ下半身脱がしたんならあれかこれかそれでしょうと
よけいなこと考えて吐き気をもよおす私子。

いくら好きな男性でも、その彼女をベッドから突き落としてまで襲わないでしょう、普通は。
床に正座した酔子はうつむいて何もいわないし、反省しているのか居直っているのかわからない。
青ざめて白目になって「恐ろしい子・・・」と独白する私子。本当は「気持ち悪い子」と思ったんだけど。
「人間じゃない」とも思ったかな。「死ねや!」とも思ったかも。
重たい空気に耐えられなくなった付添子が「あの、わたし連れて帰ります」といい、
彼男はタクシー代を渡していた。人の好いことだ。

脇が甘い学生の自業自得の修羅場だけど大事にならなくて本当に良かった。

634 名前:恋人は名無しさん[sage] 投稿日:2010/04/05(月) 00:31:22 ID:pOWT8PEt0 [1/2]
しばらくは酔子を警戒していたのだけどなにごともなく、やがて酔子はサークルをやめてしまった。
学部も学年も違ったのでサークル以外の接点はなかった。
彼男も私子もこのことは喋らなかったのに、いつの間にか知ってる人が増えていた。
笑える話ではないので、うっかり触れられない微妙な話題だった。
それからも遊びに来る人は同じように歓迎していたが、事件を知るもの同士の暗黙の了解で
お酒控えめ、お泊りはなし、特に女子は早目に帰すということになった。

現場となったソファベッドは、事情を知らない彼男友人に5000円で売った。
売った後で気がとがめて事情を教えたら「淫乱ソファと名づけて大事にします」とメールがきた。
酔子の使った布団と毛布は安いものだったのでゴミの日に出した。


彼男は就職したあと、親の持ち物だったマンションを出て別のところで暮らしていた。
このたび私子との婚約が正式に決まり来年の今頃くらいに挙式予定。
彼男のご両親が家賃格安で提供してくださった新居というのが・・・。
何年ぶりかで彼男部屋への回帰ということにあいなりました。
「彼男部屋、懐かしいねえ。私子ちゃんたちは大変だったけどあの頃は楽しかったね」と
いってくれる友人がたくさんいるので、酔子のことはさておいて楽しい思い出の場所ではあるのです。

635 名前:恋人は名無しさん[sage] 投稿日:2010/04/05(月) 00:32:22 ID:pOWT8PEt0 [2/2]
あ、おしまいです。
規制かかって解いてくれないので、回線繋ぎなおしてました。

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